今、スニーカー市場は“静か”だと感じていないか?

最近、
抽選が当たりやすくなったと感じる…。
以前なら即完売だったモデルが、
しばらく在庫が残っていることも多々ある。
プレ値も全体的に落ち着き、
「とりあえず買っておけば安心」という空気は薄れた。
SNSの熱量も、
どこか一段階トーンダウンしているように見える。
そのせいか、こんな声も聞く。
「スニーカーブームは終わったのでは?」
だが、本当にそうだろうか。
それとも今は、
ただ
“波が引いている瞬間”
を見ているだけなのか。
スニーカー市場は、これまでも何度か
熱狂と静寂を繰り返してきた。
もしそこに一定のパターンがあるとすれば、
今の状況もまた、その循環の一部かもしれない。
今回は、過去のブームを振り返りながら、
市場は本当に循環しているのかを考えてみたい。
第1章:ブームの“空気”を振り返る
2000〜2027年 スニーカーマーケット推移(予測含む)
※2027年以降は期待値を込めた願望
ブームはどんな空気の中で生まれてきたのか
ブームは偶然ではない。
その裏には、
その時代ならではの空気がある。
カルチャーが動いた時代
物語に人が熱狂した時代
資金が一気に流れ込んだ時代
まずは、代表的な波を振り返ってみよう。
2000年代前半 ― SBがカルチャーを作った時代

スケーター文化が中心だった
この頃のスニーカーは、
ファッションというより“カルチャー”だった。
ナイキSBは、
スケーターショップを中心に展開され、
履く人=その文化に属している人、
という空気があった。
今みたいに
「とりあえず抽選参加」は、
まだ存在しなかった時代だ。
情報は雑誌と口コミ
リークアカウントもなければ、
発売日まとめサイトもない。
頼りになるのは雑誌、
ショップ店員の一言、
そして友達の噂。
情報は遅い。
でもその分、濃かった。
並ぶのが当たり前だった
欲しければ並ぶ。
それが当たり前。
寒空の下、普通に並ぶ。
今の
「オンライン瞬殺」とは違い、
リアルな熱量があった。
“知ってる人だけが知っている”特別感
この時代の魅力はここ。
みんなが欲しがっているわけではない。
でも、知っている人は本気で欲しがる。
この“閉じた世界の価値”が、
後のプレ値文化の土台になった。
🔥 ここで目玉モデル紹介(スニダン参照)

品番:304292-131
国内リリース:あり
当時価格:14,175円
現在のプレ値:約400,000円
👉 Supreme × SBの衝撃は日本でも強烈だった
👉 スケーターだけでなくストリート層に波及

品番:304292-402
国内リリース:あり
当時価格:14,175円
現在のプレ値:約150,000~400,000円
👉 ターコイズ×ブラックの衝撃。日本でも一気に話題に。
👉 今見ても色褪せない完成度。SB=名作という印象を決定づけた1足。

品番:304292-302
国内リリース:あり
当時価格:13,500円
現在のプレ値:150,000~350,000円
👉 ビールブランドを想起させる配色で一躍有名に。
👉 “遊び心”と“反骨精神”がSBらしさを象徴していたモデル。
2015〜2018年 ― AJ1再燃とコラボ神話 | 新たなモデルの台頭

OG復刻が“物語”を連れてきた
この頃のAJ1は、ただの復刻じゃなかった。
「1985年の再現」
「オリジナル仕様」
「ヒールロゴの有無」
細かいディテールに意味が宿り、
“持つこと”にストーリーが生まれた。
履くというより、語るスニーカーになった時代。
抽選文化が完全に定着した
店頭抽選、オンライン抽選、
そしてSNKRSの台頭。
「当たらない」が日常になった。
外れたスクショをSNSに載せる、
あの文化もこの頃からだ。
プレ値が“当たり前”になった
発売直後に
相場をチェックするのが普通になった。
「定価◯万円 → 即◯万円」
価格の跳ね方を見て、
スニーカー市場が別のフェーズに入った
と感じた人も多いはず。
コラボが神話化した
ブランドやデザイナーとのコラボは、
単なる限定ではなく“事件”になった。
たとえば、
- Off-White
- Fragment Design(藤原ヒロシ)
- Travis Scott
- Supreme
名前が付くだけで
価値が上がるという現象。
この時代は、
ストーリーと希少性が噛み合ったブームだった。
🔥 ここで目玉モデル紹介(スニダン参照)

品番:555088-101
国内リリース:あり
当時価格:17,280円
現在のプレ値:60,000~100,000円
全盛期のプレ値:300,000円に届いたことも
👉 OG復刻ブームの中心的存在。
👉 「AJ1は強い」という認識を再び日本市場に刻んだ1足。

品番:555088-023
国内リリース:あり
当時価格:17,280円
現在のプレ値:40,000~70,000円
全盛期のプレ値:150,000~280,000円
👉 禁止カラー復活という物語込みで価値が跳ねた。
👉 ただの黒赤ではなく、“歴史を履く”モデル。

品番:AA3834-101
国内リリース:あり
当時価格:20,900円
現在のプレ値:300,000円以上
全盛期のプレ値:700,000~850,000円
👉 抽選倍率が一段跳ね上がった象徴モデル。
👉 「持っている=勝者」という空気を生んだ。
NEWモデルも熱かった

ランニングシューズもプレ値になる時代だった。
新たな素材ズームX(ミッドソールの素材)と
内蔵されたカーボンプレートなど
新たなテクノロジーが搭載されたランニングシューズ
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%が売れに売れた。
新素材ズームXは、
当時大量生産が難しく
足数が極少だったことが原因。
また、テイクダウンモデルの
ズーム フライも注目を浴び
配色によっては即完売となった。

話題が話題を呼び
オフホワイトとのコラボモデルも登場した。

新たなモデルもフューチャーされる時代。
エア マックスシリーズに追加された
ヴェイパーマックスも話題となった。
足数の少なさも要因の一つだが、
マックスエアのみで構成された
大胆なミッドソールのデザインが
最大の要因だろう。



様々なコラボモデルや
既存モデルのヴェイパーマックス版など
心が躍らずにはいられないモデルが
多くリリースされた。
”競技者が熱狂する
新しいテクノロジーの登場”
”ライト層からコア層まで
注目せざるを得ない
斬新なNEWこの二つがモデルの登場”
この2つの要素が
ブームには必須と言っていいだろう。
2020〜2022年 ― ダンク再燃と資金流入

在宅需要と重なった再燃
コロナ禍で在宅時間が増え、
SNS消費も加速。
そのタイミングで
ダンクが一斉に復刻された。
空気は一気に加熱した。
SNSが即ブームを拡散した
発売情報は瞬時に拡散。
着用画像、相場、レビュー。
“欲しい理由”が
常にタイムラインに流れてきた。
相場が全体的に底上げされた
特定モデルだけではなく、
ほぼ全体が上昇。
「とりあえず買えば上がる」
そんな錯覚が広がった時期でもある。
投資層が本格的に流入した
スニーカーを履かない人も参入。
価格推移を追う人が増え、
市場はより金融的な顔を持ち始めた。
このブームは、
明らかに資金流入型だった。
🔥 ここで目玉モデル紹介(スニダン参照)

品番:DD1391-100
国内リリース:あり
当時価格:15,400円
現在のプレ値:~定価
全盛期のプレ値:~30,000円
👉 爆発的な流通量でも完売を繰り返した象徴的モデル。
👉 “誰でも欲しい”が成立した珍しい一足。

品番:DD1391-102
国内リリース:あり
当時価格:12,100円
現在のプレ値:~17,000円
全盛期のプレ値:~40,000円
👉 OG配色の再評価を後押し。
👉 シンプルでも相場が伸びた好例。

品番:DA1469-200
国内リリース:あり
当時価格:17,050円
現在のプレ値:~定価
全盛期のプレ値:~30,000円
👉 “裏ダンク”世代歓喜の復刻。
👉 懐古と新規が交差した瞬間を象徴。
第2章:ブームの共通点は何か?

3つの時代に共通していた“条件”
時代は違っても、
ブームには共通点がある。
形は違えど、
必ず揃っていた条件があった。
① 希少性
まず間違いなく、希少性。
「数が少ない」という事実。
もしくは、
「簡単に手に入らない」という状況。
Supremeコラボも、
OG復刻も、
初期ダンクの大学カラーも。
欲しい人の数 > 供給数
このバランスが崩れた瞬間に、
市場は一気に熱を帯びる。
プレ値が発生するのは、
いつだってここからだ。
② ストーリー性
ただ数が少ないだけでは、
長くは続かない。
そこに物語があるとき、
ブームは持続する。
「1985年の再現」
「伝説のコラボ」
「文化との接続」
人はモノではなく、
背景を買う。
AJ1再燃期は、
まさにストーリーが価格を押し上げた時代だった。
③ 熱を加速させるメディア環境
最後に、拡散力。
SB期は雑誌と口コミ。
AJ1期はInstagramと抽選文化。
ダンク期はSNSとリセールアプリ。
メディアが変わるたびに、
熱の伝播スピードは加速した。
ブームは“良いモデル”だけでは起きない。
拡散される環境が整ったとき、
初めて波になる。
🔍 データから見るブームの兆し
ここで少しだけ事実も押さえておく。
- 人気モデルは発売直後に
定価の1.5〜3倍程度まで
上昇するケースがあった - 抽選倍率は体感で数倍〜数十倍へ
- 二次流通市場は
この10年で大きく拡大
(※具体的数値は要確認)
もちろん、すべてがそうなるわけではない。
だが、
「価値が跳ねる構造」
は確かに存在していた。
第3章:そして今はどんなフェーズなのか

供給が安定した“落ち着きのフェーズ”
今はどうだろう。
コラボは増え、
復刻も増え、
選択肢は豊富になった。
だが同時に、
“特別感”は薄れた。
発売情報は溢れ、
限定という言葉は軽くなり、
一足ごとのインパクトは分散している。
これは低迷なのか?
それとも、
“調整局面”なのか。
熱狂ではなく、選別。
今はそんなフェーズに見える。
第4章:市場は循環しているのか?

ブームは波のようにやってくる?
ここまで振り返ると、
ある仮説が浮かぶ。
スニーカー市場は、
一定のリズムで波を描いている
のではないか。
仮説:スニーカー市場の6段階モデル
① 希少
まずは限られた供給。
② 熱狂
手に入らないことが話題になる。
③ 投機流入
履く人以外も市場に参加する。
④ 供給増
ブランド側が供給を拡大する。
⑤ 落ち着き
価格が調整され、熱が下がる。
⑥ 再評価
時を経て、本当に価値のあるモデルが残る。
そしてまた、新しい“①”が始まる。
もしこの仮説が正しいなら、
今は⑤から⑥の間にいるのかもしれない。
第5章:低迷期は本当にネガティブか?

熱が落ち着いた時期にしかできないこと
ブームのピークは楽しい。
でも、
落ち着いた時期にしかできないこともある。
定価で選べる余裕
焦らず選べる。
これは本来、
健全な状態だ。
本当に好きな人が残る
投機的な熱が引くと、
カルチャーはコアに戻る。
ここから次の芽が育つ。
次の主役は静かに育つ
今は目立たなくても、
数年後に評価されるモデルは必ず出てくる。
ブームは突然始まるのではない。
静かな時間の中で準備される。
選別眼が問われる時代
“全部が上がる”時代は終わった。
だからこそ、
何を選ぶか。
何を残すか。
その目が試される。
それはネガティブではない。
成熟だ。
最終章

次のブームはいつ来るのか?
正直、分からない。
だがこれだけは言える。
ブームは“作る”ものではない。
気づいたら、
空気が変わっている。
- 新しいカルチャー
- 新しいスター
- 新しい物語
それらが揃ったとき、
また波は生まれる。
そしてそのとき、
自分が何を履いているのか。
何を信じていたのか。
それがきっと、一番面白い。













